本症例は,潰瘍性大腸炎に対してリサンキズマブ治療を継続していた患者に生体腎移植を施行した1例である.患者は長期にわたり潰瘍性大腸炎の治療を受け,複数の生物学的製剤を経て1年前にリサンキズマブが導入され,以後は症状が安定していた.一方,多発性囊胞腎の進行により末期腎不全へ移行したため生体腎移植が施行された.術後の免疫抑制療法はタクロリムス,ミコフェノール酸モフェチル,ステロイドを基本としつつ,感染リスクを考慮してエベロリムスを早期に導入し,ミコフェノール酸モフェチルおよびタクロリムスを減量することで,過度な免疫抑制を回避した.移植腎機能は速やかに改善し,感染症,拒絶反応,創部合併症などは認められなかった.リサンキズマブを移植前から継続投与したまま腎移植が行われた報告は本症例が初めてであり,適切な免疫調整により周術期の安全な管理が可能であった.