2026 年 59 巻 8 号 p. 477-482
患者中心の医療提供のため,さまざまな疾患をもつ末期腎不全患者にも,柔軟な対応が必要である.今回,在宅療養希望の人工呼吸器,寝たきりの患者に対し,血液透析(HD)から腹膜透析(PD)に移行し,在宅療養を提供できたため報告する.35歳男性,7年前にIgA腎症による末期腎不全のためHDを導入した.6年前に重症筋無力症(MG)を発症し,徐々に人工呼吸器管理,経管栄養,寝たきりとなった.1年前に療養型病院に転院となるも,希死念慮の出現とともに,在宅療養の希望あり,PDを導入した.PD,人工呼吸器,経管栄養の手技指導を家族に行い,訪問診療,訪問看護とヘルパーを依頼し,自宅へ退院した.介護者負担は強いものの,PD,人工呼吸器管理にはトラブルはなかった.全身倦怠感のため,退院10か月目にHDに再移行した.現在の日本では,介護を要するPD患者へのサポート体制は不十分である.患者・家族負担の軽減のため,配慮すべき点を,問題点とともに考察する.