症例は63歳女性.50歳で糖尿病性腎症による慢性腎不全に対して血液透析を導入となった.X-5年に大動脈弁狭窄症,僧帽弁閉鎖不全症に対し機械弁を用いた大動脈弁置換術,僧帽弁置換術,狭心症に対し冠動脈バイパス術を施行後,ワルファリンによる抗凝固療法を開始したが,調整に難渋していた.X年11月より呼吸苦を自覚し,両側胸水のため入院した.第2病日の心臓超音波検査で左室壁運動低下や大動脈弁位人工弁に異常は認めなかったが,僧帽弁位人工弁において中等度の僧帽弁狭窄を認めた.第4病日より急性心不全を呈し,人工弁機能不全が疑われたため第5病日に僧帽弁再置換術を施行し心不全の改善を得た.摘出した機械弁に血栓付着を認め血栓弁と診断した.血液透析患者は出血リスクが高く抗凝固療法の管理は困難であるが,弁置換術後の症例では厳格な管理が重要であり,人工弁機能不全が疑われる症例は早急に対応する必要がある.