2026 年 59 巻 9 号 p. 528-533
40歳男性.双極性障害などで通院しており,最終血中リチウム濃度測定は2年前,0.9 mEq/Lであった.意識障害で当院へ搬送,常用薬に炭酸リチウムが含まれ急性リチウム中毒を考慮し胃洗浄後,緊急入院とした.入院後も意識障害継続し翌朝に全身性痙攣が出現した.入院時リチウム濃度は4.23 mEq/Lと中毒域・致死濃度(4.0 mEq/L)であり,人工呼吸管理の上,血液透析(HD)とした.3日連続でHDを実施,第5病日透析後のリチウム濃度が0.76 mEq/Lまで低下しておりHD離脱,同日抜管.その後痙攣再発なく経過し,第15病日退院とした.急性リチウム中毒において重篤な中枢神経症状を呈する場合,HDにより速やかにリチウム濃度を低下させ,症状を改善させることが可能であることが示唆された.