抄録
1976年1月より, 血液濾過法 (HF) を臨床的に検討した. 1982年1月現在, 5年2か月にわたる長期治療を行っている.
その間, HFでの装置, filter, 等のhard wareの側面の研究開発を行った.
また, 同時にHFでの物質移動や, filter特性等のsoft wareの面での検討を行ってきた.
その結果, 装置やfilterに関しては, すでに臨床的に検討しても十分な能力を備えたものが得られている. 一方, HFでの物質移動やfilter特性の解析は, 十分とはいえないまでも, 実際の臨床経過や症状を解く鍵を提供している. 次に, このsoftとhardの両面を, 生体反応との関係から検討してみると, 従来の人工腎では, 解決困難であったいくつかの問題点に対し有効性を確認できた.
すなわち, 一部蛋白を含む, 分子領域の除去拡大により糖代謝, アミノ酸代謝等の改善を見た. また, 免疫能の点で, HF, HDを比較しても, その改善効果は, HFで高い等いくつかの有効性が認められている. さらに, 生体的物質移動よりHF, HDを比較すれば無症候治療の可能性と, 不均衡症候群発生頻度の軽減の説明がつく.
こういったHFの有効性と有用性をふまえ次にきたるべき新しい人工腎の開発と研究を現在めざしている.