人工透析研究会会誌
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吸着型人工腎臓
小高 通夫
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1982 年 15 巻 2 号 p. 137-144

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抄録
人工腎臓は, 膜を介しての拡散, 限外濾過の原理に基づいた物質の移動を応用した方式をとってきた。 これらの方式では, 小分子量物質の除去は優れているが, 中分子量物質の除去は効果的ではない.
近年uremic toxinにおいて, 中分子量物質が注目され, その除去について新しい血液浄化法が開発され, その1つとして吸着剤を使用しての血液浄化法, 即ちhemoperfusionが登場してきた.
吸着剤として使用されるものは, 現在は活性炭が多く, 活性炭に被膜加工を行い, 血液とのbio-compatibilityを良好にして臨床に使用されている.
本稿は, われわれの開発した, ビーズ炭にセルロース被覆を行った吸着剤を中心として, その臨床経験を述べる.
慢性腎不全の治療としては, hollow fiber kidneyとの直列併用により, 極めて効率の良い, しかも残存機能を温存しうるような, 優れた血液浄化法を開発した. これらは, 維持透析時間を5-6時間より3時間へと短縮が可能となり、 3年間週3回, 1回3時間の維持血液浄化で社会復帰している症例を有している。 また維持透析を, 週3回より2回に浄化回数を減少することも可能であり, さらに慢性透析導入時に使用することにより, 週2回の期間を延長することも可能であった。
また中分子量物質の除去の面より, uremic pericarditis及びuremic neuroathyの治療に極めて効果的であった.
急性腎不全の治療としては, 慢性腎不全の臨床においてみられた利点に, さらに種々toxinの吸着などを中心とした, 低下した細網内皮系の人工臓器, 即ち人工細網内皮系としての役割をはたす意味で使用し, 有意に良い救命率を挙げている.
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© 社団法人 日本透析医学会
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