人工透析研究会会誌
Online ISSN : 1884-6203
Print ISSN : 0288-7045
ISSN-L : 0288-7045
安山信雄氏臨床経過および病理解剖所見
中島 幹夫尾立 源昭重松 授
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 15 巻 2 号 p. 85-88

詳細
抄録
故安山信雄氏は, 昭和51年7月尿路結石が原因と考えられる慢性腎不全の状態となった. そのため血液透析を開始し, 以後は外来にて順調に透析を行っていた. 昭和56年3月中頃より, 透析中に意識障害があらわれ, 翌日は回復するという状態をくり返すようになった. 透析前後の血糖, 電解質, 動脈血ガス分析, 肝機能等では意識障害の原因となるような異常所見は特に認められず, 脳波では深い睡眠または意識障害の脳波であったがfocusは不明であった. このような状態のまま昭和56年4月4日永眠された. 病理解剖所見では, 直接死因は肺浮腫であった. 脳にはこの意識障害を説明するような所見はみられず, 膵臓においても, 非β細胞よりなる非機能性膵島腫と診断されたが, これよりも意識障害を説明しうるものではなく, 結局病理学的にも現在意識障害の原因は未解決である.
著者関連情報
© 社団法人 日本透析医学会
次の記事
feedback
Top