人工透析研究会会誌
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透析患者の環境についての考察 (第2報; 夫婦関係について)
菅本 英雄須合 美津子玉置 寛子小川 きみ代
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キーワード: 夫婦関係, 透析成績, 性生活
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1983 年 16 巻 1 号 p. 33-36

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抄録
環境要因としての家庭は患者の自己管理に大きな影響を与えると報告されている. 透析患者の70%が既婚者であり, また夫婦関係が家庭に及ぼす影響も大きいことからしても, 夫婦間に内在する問題は無視しえないと思われる.
われわれは, 既婚男性患者16名を対象に夫婦生活の実状を調べ, 夫婦関係と臨床透析成績との関連について検討した.
夫婦関係および透析成績は, それぞれスコア法を用いて定量化し, 夫婦スコア, 透析スコアと称した. 夫婦スコアは協力度, 経済度, 性的満足度の3項目から成り, 透析スコアは体重増加・血圧・血清総タンパク・Ht・BUN・血清ナトリウム・血清カリウム・CTRの8項目のスコアとした.
夫婦スコアと透析スコアとには相関関係が認められ, 夫婚スコアの高いものほど透析スコアも良好の傾向にあった. また, 夫婦関係と性生活の関連を重視する傾向がみられたが, 夫婦スコアにおける性的満足度は他の尺度より, 夫婦関係に及ぼす影響力としては下位にあった.
以上の結果より, 円満な夫婦関係は透析成績に好影響を与えることを確認できたと考えられる. また, 夫婦関係にとっては, 性生活よりも, 患者の家庭や妻に対する姿勢がより影響するものと考えられた.
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© 社団法人 日本透析医学会
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