人工透析研究会会誌
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腎性骨異栄養症に対する副甲状腺亜全摘術の骨格系以外に対する効果
井上 聖士長坂 肇平岡 敬介荘野 忠泰吾妻 真幸湯川 進稲守 美紀井原 元岩崎 徹平林 俊明宮本 孝依藤 良一稲垣 王子森 頴太郎藤田 嘉一
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1983 年 16 巻 5 号 p. 295-301

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抄録
二次性副甲状腺機能亢進症を伴った重症な腎性骨異栄養症の17例に副甲状腺亜全摘術 (PTX) を行い, 骨格系以外の系の腎不全症状に対するPTXの効果を検討した.
術前のPTHレベルは全例増加しており (平均18.2ng/ml), 術後はほとんど全例が正常化した. 摘出した副甲状腺の重量は0.45-6.55g (平均2.7g) であった. 術前の赤血球数の平均は268万であったが術後は292万に増加した. 血色素量, ヘマトクリットも同様に増加したが網状赤血球数には変化がなかった. 収縮期, 拡張期血圧はPTX後ただちに下降し, その後も下降したままであった. 平均下降血圧の程度は収縮期で17mmHg, 拡張期で7mmHgであった. 術前の腓骨神経伝導速度は正常範囲にあり, PTX後も変化しなかった. 全例がPTX後体重が増加した.
近年, PTHは尿毒症性毒素の1つと考えられており, 多くの尿毒症症状すなわち, 貧血, 高血圧, 神経障害, 蛋白代謝障害の原因物質とみなされている.
今回の我々の論文から, PTHが多くの尿毒症性毒素の重要な1物質であることが考えられた.
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© 社団法人 日本透析医学会
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