抄録
細胞培養法を用い, 医療用プラスチックの水溶性および脂溶性抽出物質の細胞に及ぼす影響を検討した.
ethylene-vinylacetate copolymerならびに可塑剤無添加および添加のpolyvinyl chlorideのエタノールあるいは血清抽出液は, 蒸留水あるいは生理食塩水抽出液と異なり, いずれもマウス由来L-929細胞の増殖を濃度依存性に抑制し, 形態学的な変化も惹起した. 一方, polyethyleneの抽出液はいずれも培養細胞に影響を及ぼさなかった.
現在の溶出物に関する安全性試験では主に蒸留水および生理食塩水を抽出溶媒としているが, 直接血液と接触する器材に対しては水溶性のみならず脂溶性物質の溶出にも十分注意を払うべきであろう.