人工透析研究会会誌
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家庭透析者のセルフケアからみた介助者の役割について
横井 由美
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1985 年 18 巻 1 号 p. 89-92

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抄録
私共は, 患者の責任と介助者の役割に関する現状を明確にするため. 当院にて管理している65組の患者, 介助者を対象にアンケート調査を施行した.
65組中59組から回答があった. それによると家庭透析患者の90%が男性であり, 介助者の90%が女性であった. 患者および介助者の年齢についてはともに30-40歳代の働き盛りが72%を占めた. また, 86%の患者および34%の介助者が職業を持っていた. 介助者の続柄については, 78%の者が妻であった. 約60%の患者が透析開始準備を介助者に依存しており, その準備に要する時間は55±28minであった. 84%の患者が自己穿刺を行っており, 70%の患者は透析中のヘパリン投与量および膜間圧の調整を自分で行っでいた. 76%の介助者が患者にかわって透析後の後始末を行い, その所要時問は41±19minであった. また, 49%の患者が透析カード記録を介助者に依存し, 自己管理ノート記録を39%の患者が, 材料表記入を58%の患者が, 在庫管理を56%の患者がそれぞれ介助者に依存した.
しかし, 検査結果のお知らせ文書についてはすべての患者が目を通していた. 患者自身でできることは患者が自分でしてほしいと答えた介助者は全体の10%, これまでに家庭透析をやめたいと思ったことがある介助者は全体の45%, そして患者とともに家庭透析を今後も続けたいと答えた介助者が全体の96%を占めた.
以上より, 家庭透析患者は介助者に極めて多くの部分を依存していることがわかる. 一方, 介助者は家庭透析を肯定的にとらえながらも患者により多くのself careを期待している.
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© 社団法人 日本透析医学会
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