人工透析研究会会誌
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社会復帰している透析患者の食事摂取状況 特に外食について
辻 万寿美大野 容子前田 圭禧沢西 謙次山本 淳子堂下 純子八木 成子平 正人前釜 好江
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1985 年 18 巻 1 号 p. 77-87

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抄録
外食産業の発展や種々の半調理済食品または調理済食品が氾濫している今日, 社会復帰している透析患者にとってそれらの影響は無視できない. 透析患者120名を仕事を有する者65.8%と家庭の主婦34.2%に分類し, その実態を比較検討した.
レトルト食品は47.5%, そうざいは53.4%の者が利用していた. これらの食品を利用する理由として, 仕事を有する者は時間的ゆとりのない時に, 主婦は調理の手間を省くために利用する傾向がみられた. 外食は78.3%の者が利用し, 仕事を有する者は主婦に比べ利用率が高かった. 外食を利用する理由として, 仕事を有する者は仕事の都合上で, 主婦は食事摂取量を高めるためや気分転換のために利用する傾向がみられた. また, 少数ではあるが食事を作ってくれる人がいないためと答えている者もあった. 外食における食事管理の留意点として, 塩分や水分の多い料理は避け, 蛋白質の不足がないようにメニューを選採し, 摂取時には汁物や漬物等は食べない, 食卓の調味料を使わない等, 塩分・水分に対して最大の配慮を行っているものの, 透析患者は現在のおかれている生活環境によって, 近年の食生活の変遷に少なからず影響を受けていることが明らかになった. 我々は外食の摂り方の問題として, 塩分・水分はもとより量・質ともに栄養バランスを考えた合理的なあり方を教育指導せねばならないことを痛感した.
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© 社団法人 日本透析医学会
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