人工透析研究会会誌
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ダイアライザー用ポッティング材由来の免疫抑制因子
佐多 和子瀬川 智一松川 晃稲本 元
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1985 年 18 巻 2 号 p. 181-184

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抄録
ダイアライザー中のポッティング材は透析中血液と接触している. それゆえその安全性については十分留意される必要がある. そこで滅菌および未滅菌のポッティング材を各種溶媒にて抽出し, 抽出液のヒトリンパ球機能におよぼす影響を検討した.ポッティング材により性状が異なり, エタノールおよび血清抽出でリンパ球DNA合成を抑制するもの, および生理食塩水と血清抽出液で抑制作用を示すものがあった. すなわち脂溶性の抑制因子を溶出するものと, 塩類溶液に溶けやすい因子を溶出するものがあった. 後者のポッティング材をガンマ一線照射により滅菌したものの抽出液は抑制作用が減弱していた. 一方, 前者のポッティング材ではEOガス滅菌したものの抽出液で未滅菌の場合より抑制作用が軽度強化されていた. このようなリンパ球機能抑制因子は透析患者における免疫不全状態の成立に少なくとも一部関与している可能性が考えられた.
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© 社団法人 日本透析医学会
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