人工透析研究会会誌
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18 巻, 2 号
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  • 峰島 三千男, 渡辺 尚美, 竹本 三重子, 蓮尾 雅美, 鈴木 利昭, 太田 和夫
    1985 年18 巻2 号 p. 111-114
    発行日: 1985/04/30
    公開日: 2011/01/26
    ジャーナル フリー
    CAPDにおける酸塩基平衡の維持には通常lactateが用いられている. lactateのbicarbonateへの代謝はきわめて緩やかで, 物質移動の比較的おそいCAPDに適したアルカリ化剤といえる. しかしlactateの代謝速度は個々の患者で異なり, 代謝のおそい患者では高乳酸血症, 速い患者では代謝性アルカローシスの恐れが考えられる. これに対しCAPD用灌流液中のlactate濃度は35mmol/lと画一的に定められており, CAPDを維持透析として捉えた場合には問題がある.
    本研究では個々の患者に対する至適lactate濃度決定を最終目的とし, そのためにlactate, bicarbonateの腹膜移動速度定数, 代謝速度定数を患者ごとに求めた. 方法としてはすでに安定期に到達したと思われるCAPD患者12名に対し, 透析開始時血液濃度および廃液透析濃度を調べた. 測定項目としては血ガス分析, lactateの2種を選んだ. 得られた臨床データに対しcompartment modelを用いてシミュレーション解析を行い各速度定数を試行錯誤的に求めた. この際, lactate, bicarbonateの代謝速度は1次反応速度式に従うものとした.
    12人の患者の血中lactate濃度はいずれも正常値範囲に分布していたが, 患者間で2倍以上の差異が認められた. また速度定数ではbicarbonateの腹膜移動速度を除き, 患者間で個人差がみられ, 体重との相関も認められなかった.
    得られた速度定数の値をもとに, 透析液lactate濃度を変化させた時のpH, 血中Iactateおよびbicarbonate濃度の値を求め, 至適透析液lactate濃度を患者ごとに決定した. 12人の患者について検討した結果, 少なくとも2, 3種類のlactate濃度の異なる透析液が必要と思われた.
  • 水入 苑生, 小原 武博, 森木 光司, 平田 清文
    1985 年18 巻2 号 p. 115-121
    発行日: 1985/04/30
    公開日: 2011/01/26
    ジャーナル フリー
    25例の長期透析患者において尿毒症性末梢性ニューロパチーおよび尿毒症性ミオパチーを臨床的, 血液生化学的, 電気生理学的および病理学的に検討し, その結果を保存療法患者におけるそれと対比した. 平均透析期間は3年3カ月であり, 保存療法群のCcrは4.1±0.4 (mean±SE) ml/minであった. 透析患者25例中, 神経原性変化は全例(100%), 筋原性変化は6例 (24%) に認められた. 保存療法患者30例中, 神経原性変化は19例 (64%), 筋原性変化は13例 (43%) に認められ, 4例 (13%) には異常が認められなかった.混合性変化は両群で認められた. 末梢運動神経最大伝導速度は透析群において保存群に比し高頻度に低下しており, 有意 (P<0.001~P<0.02) の低値を示した. 結局ミオパチーについては両群間に差異は認められなかったが, 末梢性ニューロパチーは透析群でより高頻度で重篤であった.したがって通常の透析療法による末梢性ニューロパチーの消失は期待し得ないと考えられる.
  • 寺師 宗和, 森田 隆久, 上村 伸一郎, 原田 隆二, 尾辻 義人, 橋本 修治, 高山 巌
    1985 年18 巻2 号 p. 123-131
    発行日: 1985/04/30
    公開日: 2011/01/26
    ジャーナル フリー
    透析療法の進歩により, 長期透析患者は増加しているが, 一方この透析療法は種々の治療上の問題をかかえていることも事実である.
    その一つに心理的側面の問題がある. つまり食事上の制限に加え, 透析療法は患者に時間的または行動上の拘束を強いるもので, このような心理的ストレスは, しばしば患者の不適応状態をもたらし, これが透析療法自体を困難にすることすらある. この問題については, すでにいくつかの研究報告がみられる.今回我々は12例の透析患者を対象に, 透析開始5年後および10年後と長期にわたって追跡調査し, その心理的側面について検討した.
    烏野が作成した社会適応尺度ならびに透析患者用文章完成テストを用いて主に次の点を検討した. 10年以上の長期透析患者では, 透析療法に入る前の生活全般における適応状態はどのようなものであったか, また療養中の治療態度や医師, 看護婦など治療スタッフとの関係はどうか, 家庭, 職場における適応状態はどのようなものか, さらに腎臓病に対する認識ならびに将来に対する態度はどうかなどの諸点である.
    長期治療をうまくのりきってきた患者では一般に治療前の適応状態も, また療養中の治療態度や医療スタッフとの関係も良好であるといえた.この良好なラボール (相互的な疏通性) は透析患者が透析療法を長期にうまく適応していくためには重要な要因となっていると思えた. また病気に対する恐しさの認識が確立され, これも治療第一と考える態度を形成しているようであった. 家庭・職場の要因は患者の闘病生活において, 最も心理的支えになっているものといえた. また将来への不安, 死への恐怖はやはり患者の大きな問題であるが, これは結局, 現在いかに積極的に生きるかといった, いわば実存的問題に解答を求めていくべきであるかもしれないと思われた.
  • 南部 正人, 熊野 和雄, 草刈 修一, 伊東 由美, 林 久美子, 城井 晴美, 川口 純子, 松橋 茂子, 酒井 糾
    1985 年18 巻2 号 p. 133-136
    発行日: 1985/04/30
    公開日: 2011/01/26
    ジャーナル フリー
    維持透析患者の血圧状態を調査するとともに, 低血圧症例に各種の血液浄化治療に加えて低温透析を行い若干の知見を得たので報告する.
    維持透析患者374名の血圧調査の集計結果は, 高血圧群14.7%, 正常血圧群78.3%, 低血圧群7.0%の頻度であった. これら3群での透析中の血圧低下頻度は, いずれの血圧群にあっても31%の出現率であった. 透析中に血圧低下を来たす9症例の治療に際し常温透析から低温透析に変更したところ, 収縮期血圧は106.2±19.0から127.8±19.6mmHgと有意に (p<0.01, n=9) に上昇し, 拡張期血圧, 心拍数に差は認めなかった. また, 深部体温測定については, 常温透析において胸部深部温と足底深部温の間に収束を認め, 低温透析では収束を認めず, このことは末梢血管抵抗増加を示唆した.
    各種血液浄化治療中の血圧低下頻度は, 常温透析30.9%, 低温透析18.9%, Na145透析17.6%, HDF167%, およびHF15.7%であった. これらの成績から低温透析は低血圧症例での透析法として有用な方法と考える.
  • 骨変化に対するX線CT, SPECTによる定量的観察の有用性
    岡村 光英, 井上 佑一, 福田 照男, 越智 宏暢, 小野山 靖人, 安本 亮二, 山上 征二, 岸本 武利, 前川 正信, 森井 浩世
    1985 年18 巻2 号 p. 137-148
    発行日: 1985/04/30
    公開日: 2011/01/26
    ジャーナル フリー
    血液透析患者で骨関節痛, 易骨折性, 異所性石灰化を有するもの, あるいは血清ALP高値のもの41例を対象に骨シンチグラフィを行い, 大きく3つの群に分類し, 血液化学検査と対比した. 1群は骨へのRl集積が強く特に頭蓋骨, 上顎, 下顎骨, 肋骨肋軟骨接合部などに強いRI集積を認めたもので, diffuse high activity of the bone型とした. II群は骨へのRl集積が少なく, background activityが高くhigh background activity型とした. III群は骨外に99mTc-MDPの異常集積を認めたものでextraosseous calcification型とした. I群は41例中19例, II群は11例, III群は11例で, III群のうち4例は肺・腎の臓器に異常集積を認め, 7例は軟部組織に異常集積を認めた. I群ではALP, C-PTHの高いものが多く, 透析期間も長いものが多く見られ, II群では透析期間はI群に比し短かった. III群では血清P, Ca×P積の高値が高率に認められた.
    上述の腎性骨異栄養症患者41例中, 内科的治療にて軽快せず, 副甲状腺亜全摘術を施行された11例に対し, 術前術後に骨変化を調べるため種々の検査を行い, より鋭敏な方法を検討した. 従来より行われている方法に加え, X線CT, 骨シンチSPECTを使用して骨ミネラルの定量的測定を行った。11例中10例は1群に属し, 1例は軟部に異所性石灰化を認めた川群である. 骨単純X線像でも術後3カ月で骨病変の改善はある程度認められたが骨シンチでは術後1カ月で異所性石灰化の減少が捉えられ, 単純X線像の変化より速かった. X線CTによる前頭骨EMI値測定は, 中手骨microdeg sitometry, 橈骨bone mineral analysisの値の変化より大きかった。I群の骨シンチで, 頭蓋骨, 上顎, 下顎骨に強いRI集積が見られたが術後減少し, この変化を定量的に測定したSPECTによるRIカウント比は35.0~50.0%低下し, 他検査に比し最も変化が大きかった.
  • 特に全身血管抵抗について
    村沢 恒男, 田口 真, 鈴木 透理, 広藤 良樹, 藤井 裕介, 藤本 紘太郎, 小川 富雄, 羽入田 陽一郎, 上田 征夫, 原 文男, ...
    1985 年18 巻2 号 p. 149-154
    発行日: 1985/04/30
    公開日: 2011/01/26
    ジャーナル フリー
    糖尿病性腎症 (DN) による慢性腎不全 (CRF) 患者5例 (DN群) につき血液透析 (HD) 施行時における心機能を測定し, 特に全身血管抵抗について非DN性CRF患者10例 (non-DN群) および腎機能障害を認めない糖尿病患者5例 (DM・non-CRF群) と比較検討を行った.
    症例の内訳は, 維持HD4例, 導入期HD1例, 年齢は59~67歳, 平均62歳, 糖尿病歴は3~19年, 平均11年, lDDM2例, NlDDM3例であった. 方法はSwan-Ganzカテ-テルを挿入し, 心係数, 左室仕事量 (SWI) および全身血管抵抗係数 (SVRI) を算出した. 各測定はHD開始前, 開始後1時間毎および終了30分後に行った.
    1) DN群のHD施行前のSVRIの平均は (1.76±0.25) ×103dyn・sec・cm-5・m2で健常平均値と比較すると低く, non-DN群の平均と比較しても低い傾向にあり, DM・non-CRF群の平均とは有意に低かった. 2) HD施行中のSVRIの変化について検討し, HD施行前を100としたSWI%と, 同じく施行前を100としたSVRI%との関係をみると, SWI%の変化にかかわらずSVRI.%はほぼ一定の傾向を示し, SVRI%=-0.104× (SWI%) +103.9の関係がみられ, non-DN群でのSVRl%=-0.311× (SWI%) +=132.5と比較すると差が明らかになった.以前の報告でわれわれはCRF患者ではHD施行中に除水の増加に伴い, SWIが高い逆相関で減少することを明らかにした.以上からDN群では除水に伴い減少したSWIを補うべき血管反応性としてのSVRIが, HD施行前にてすでにnon-DN群やDM・non-CRF群と比較すると低く, またHD施行中もnon-DN群と比較するとその増加率が低いことが示唆された.
  • 安藤 亮一, 桑原 道雄, 芝本 隆, 斉藤 博, 武内 重五郎, 椎貝 達夫
    1985 年18 巻2 号 p. 155-159
    発行日: 1985/04/30
    公開日: 2011/01/26
    ジャーナル フリー
    ヘモグロビンの酸素親和性は組織への酸素供給の重要な因子である. 慢性腎不全患者では, 貧血に対する適応現象としてヘモグロビンの酸素親和性が減少し, 血液の酸素運搬能が上昇していることが知られている. 酢酸透析はアシドーシスを改善させ, Bohr効果により酸素親和性を増大させるとされているが, 重炭酸透析が酸素親和性にいかなる影響を及ぼすかは十分に検討されていない。そこで, 著者らはヘモグロビンの酸素親和性に及ぼす影響について, 酢酸透析と重炭酸透析との間で比較検討した. 対象は明らかな心・肺疾患を有しない血液透析患者8例である. 同一症例に対して, 酢酸透析と重炭酸透析を施行し各透析前後で, 動脈血ガス分析, ヘモグロビン濃度 (Hb), 血清無機リン (S-iP), 赤血球2, 3-diphosphoglycerate (2, 3-DPG), 酸素解離曲線について検討した.
    その結果, 動脈血ガスでは両透析でpHの上昇, Po2の低下がみられたが, 透析後のPco2が重炭酸透析で有意に高値である以外, 両透析間には差が認められなかった. Hbは両透析で不変, S-Pは両透析で減少,, 3-DPGは両透析で不変であり, いずれも両透析間に差が認められなかった. P50 (in vivo) は酢酸透析において透析前28.5±0.6 (平均値±SE) mmHgより透析後25.7±0.6mmHgへと有意に減少し, 重炭酸透析においても前28.6±1.0mmHgから後26.7±0.8mmHgへと有意ではないが, 減少傾向を示した. なお, 前値, 後値, 変化量には両透析間で差が認められなかった.
    以上より, ヘモグロビンの酸素親和性に及ぼす影響には, 酢酸透析と重炭酸透析との間で差がないと考えられた.
  • とくに冠硬化症と心膜炎について
    多川 斉
    1985 年18 巻2 号 p. 161-166
    発行日: 1985/04/30
    公開日: 2011/01/26
    ジャーナル フリー
    長期透析患者の予後は心血管系合併症に左右されることが多い. 本稿では, このうち冠硬化症と心膜炎について報告する.
    1. 冠硬化症: 高圧心×線透視によって慢性透析患者65例中14例に冠動脈石灰化を認め, そのうちびまん型11例 (うちしAD, CX, RCAの3枝病変8例), 限局型3例であった. 狭心症状のある患者は, 3枝びまん型石灰化例中の1例であった. 基礎疾患としては, 糖尿病性腎症7例中4例に冠動脈石灰化を認め, 他の疾患より高率であった. 石灰化陽性患者は全例50歳以上であり, 透析期間は1例を除き3年以上であった.年齢50歳以上かつ透析期間3年以上の患者では, 石灰化は20例中13例という高頻度であった. このうち2枝以上にわたるびまん性石灰化は8例であったが, 50歳以上の未透析腎不全例では19例中2例と少なく, 糖尿病性腎症患者を除いても両群間に差を認めた. すなわち, 透析療法は冠硬化症のrisk factorの1つであり, 長期透析に際してとくに高齢者や糖尿病性腎症の管理の上で注意を要する点である.
    2. 心膜炎: 心タンポナーデ症状が出現した場合, または心エコー図で心膜液が500ml以上で増加傾向にある場合, 局麻下で剣状突起下から心膜切開を行い, ドレーンを数日留置した (12例). 2例は温水によって貯留した心膜液の残遺で, CRP (-) であり, LDHの心膜液/血清比は0.5, 0.6と低値で漏出液と推察された. 他の10例は透析導入後15日~6年で発病し, 初発症状は発熱 (37~38℃), 胸痛ないし胸内苦悶, 咳漱, 動悸などであり, これらはしばしば心拡大に先行した. CRPは全例強陽性であり, LDH比は2.5~13.4 (平均6.0) と著しく高値で, 尿毒症性心膜炎と判断された. 術後に再発や心膜癒着はなかった. 一部の症例で心膜腔内にトリアムシノロンを注入したが, 有効性は確認できなかった. 尿毒症性心膜炎による大量の心膜液は早期に排除すべきであり, 本法は心膜穿刺より安全で確実な方法と考える.
  • 熊野 和雄, 篠原 克人, 飯高 喜久雄, 酒井 糾
    1985 年18 巻2 号 p. 167-172
    発行日: 1985/04/30
    公開日: 2011/01/26
    ジャーナル フリー
    CAPDにおける電解質の除去特性とこれらに関与する因子について検討した. ナトリウムおよびクロールの除去量と限外濾過量 (UFV) の間には非常に高い相関関係があり, 4.25%液使用時には1.5%液使用時に比してUFVと同様に約4倍の除去量の増加を認めた. しかしカリウム, 無機燐, マグネシウムではその増加率はNa, Clに比して小さく, 4.25%液使用時には1.5%液使用時より各々, 1.3, 1.4, 2.3倍しか増加しておらず, 電解質の種類により除去特性に差を認めた. 高張透析液使用時の腹膜限外濾過液は細胞外液よりも電解質濃度は低く, このことは高張液の頻回使用時に高ナトリウム血症等を起こす可能性を示唆しており, 注意を要する. CAPD患者の透析液よりのカルシウム吸収量は限外濾過量と負の相関があり, 高張透析液使用時にはnegative balanceとなるので, 4.25%液のCa濃度は少し高くする必要がある. マグネシウムの除去量は少なく, ほとんどの症例で血清Mg値の漸増傾向を認めることより透析液Mg濃度を低下させる必要がある.
  • 特に除水量との関係について
    安藤 康宏, 田部井 薫, 椎名 明, 浅野 泰, 細田 瑳一
    1985 年18 巻2 号 p. 173-179
    発行日: 1985/04/30
    公開日: 2011/01/26
    ジャーナル フリー
    下大静脈 (IVC) は超音波断層法によって容易に描出され, その形態, 内径の呼吸性変動は右心機能, 中心静脈圧を反映することから, 循環動態の有用な指標の1つとして注目されつつある. そこで, 今回, 心不全および呼吸不全のない慢性腎不全症例10例について計71回の血液透析中, IVCを超音波断層法を用いて描出し, 透析に伴う体液量, 体液分布の変化がIVCの形態にどのように影響するかを検討した.
    得られた結果を以下に示す.
    1) 除水に伴い全例でIVCの安静呼気時最大径 (IVC-E) および安静吸気時最小径 (IVC-1) は減少し, 呼気時最大径に対する吸気時の径の減少率, すなわち下大静脈虚脱指数collapsibility index (Cl;[IVC-E-IVC-I]/IVC-E) は増加した. IVC-Eおよび体重の透析前後の変化率 (△IVC%, △BW%) の間には有意な正相関 (r=0.631, n=65, P<0.001) が認められ, IVC-Eは除水による体重変化を最もよく反映した.
    2) 血液透析中の循環血液量 (CBV) を測定した4症例では, CBVとIVC-Eの間に有意な一次相関 (r=0.819, n=20, P<0.001) が認められ, IVC-EはCBVの変化も反映すると考えられた.
    3) 除水によりIVC-Eがある限界値以下に減少すると著明な血圧低下を来す傾向がみられ, 除水中止, 補液, 下肢挙上により血圧は回復し, IVC-Eも再び増大した.
    以上の結果より, 明らかな心不全および呼吸不全のない血液透析患者において, 超音波断層法によるIVC内径の計測は, 透析中のCBVの推定, 除水限界の予測等に有用と考えられる.
  • 佐多 和子, 瀬川 智一, 松川 晃, 稲本 元
    1985 年18 巻2 号 p. 181-184
    発行日: 1985/04/30
    公開日: 2011/01/26
    ジャーナル フリー
    ダイアライザー中のポッティング材は透析中血液と接触している. それゆえその安全性については十分留意される必要がある. そこで滅菌および未滅菌のポッティング材を各種溶媒にて抽出し, 抽出液のヒトリンパ球機能におよぼす影響を検討した.ポッティング材により性状が異なり, エタノールおよび血清抽出でリンパ球DNA合成を抑制するもの, および生理食塩水と血清抽出液で抑制作用を示すものがあった. すなわち脂溶性の抑制因子を溶出するものと, 塩類溶液に溶けやすい因子を溶出するものがあった. 後者のポッティング材をガンマ一線照射により滅菌したものの抽出液は抑制作用が減弱していた. 一方, 前者のポッティング材ではEOガス滅菌したものの抽出液で未滅菌の場合より抑制作用が軽度強化されていた. このようなリンパ球機能抑制因子は透析患者における免疫不全状態の成立に少なくとも一部関与している可能性が考えられた.
  • Valsalva法による解析
    加藤 満利子, 中西 祥子, 加藤 貞春, 金丸 智子, 高木 真理, 久保 和雄, 鈴木 利昭, 杉野 信博
    1985 年18 巻2 号 p. 185-188
    発行日: 1985/04/30
    公開日: 2011/01/26
    ジャーナル フリー
    長期透析患者の低血圧の成因のうち, 自律神経機能の因子に関して, Valsalva検査 (動脈直接穿刺法) による評価を試みた. 血液透析患者の正常血圧群5例, 低血圧群5例および, 自律神経機能障害を有する線状体黒質変性症 (striato-nigral degeneration, SND) 1例を対象とした. Valsalva検査は15秒間40mmHgの抵抗に対して息を呼出する方法であり, 心電図, 動脈直接穿刺法による動脈圧測定からR-R比, I~IV相, strain, release (△SP: mmHg) を評価した. 心拍数の変化 (R-R比), 低血圧群 (1.24±0.16), 正常血圧群 (1.47±0.14) に比べ有意の低値を示した (P<0.05). 動脈圧反応ではstrain, releaseが低血圧群 (53.00±2.74, 43.00±8.37mmHg), 正常血圧群 (73.00±13.03, 90.00±1414mmHg) に比べ有意の低値を示した (P<0.01, P<0.001). さらに低血圧群では特異的な第IV相の欠如を認め, これは自律神経機能障害を有する線状体黒質変性症1例と同様の所見であった. 以上の結果から, 透析患者の低血圧の成因の1つに自律神経機能障害の関与が強く示唆された.
  • CAPD症例における検討
    村本 弘昭, 東福 要平, 平田 昌義, 津川 喜憲, 中島 昭勝, 浜田 真, 安藤 明, 河合 盛光, 紺井 一郎, 宮崎 良一, 竹田 ...
    1985 年18 巻2 号 p. 189-195
    発行日: 1985/04/30
    公開日: 2011/01/26
    ジャーナル フリー
    CAPD患者におけるグアニジノ化合物 (GCs) の動態について検討した. 12例の患者を対象とし, 1回のCAPD液の貯溜時の腹膜クリアランスを測定した. さらにもっとも経過の長い2例について, 血中GCsと臨床経過との関連について検討した31年以上経過観察した5例を対象に, グアニジノコハク酸 (GSA)/血液尿素窒素 (BUN) 比の経時的変動を検討し, これと血液酸塩基平衡との関係についても検討した.
    腹膜クリアランスではメチルグアニジン (MG) が4.56ml/minでUNとほぼ等しく, 最も高値を示した. GSAは3.76ml/minでグアニジノ酢酸 (GAA) やクレアチニン (Cr) とほぼ等しい値であった. 長期の経過を観察した2例では, 8UNの低下に比し, 血清GSAの著明な低下を認めたが, GAA, MG, Cr変動は軽微であった. GSA/BUN比の経過はCAPD導入時平均4.30(×10-3), 維持血液透析期群 (5.24±3.21, n=82) に類似の値であったが, 導入後はほとんどの例で慢性腎不全保存療法期群 (2.02±1.33, n=37) の値にまで低下した. このうち血清GSAが著明に低下した3例で, 代謝性アシドーシスの改善がみられた.
    CAPD導入後, 長期経過観察した2例で, BUNの低下に比し, 血清GSAの低下がより著しかった. GSAの腹膜クリアランス値は, UNのそれより小さく, このことよりCAPDにおいては何らかの機序でGSAの生成が低下することが考えられ, 代謝性アシドーシスの改善がその一因と思われた. GAAに関し, 腎機能が極度に低下した状態では, 腎以外の臓器での産生が代償的に亢進する可能性があるが, 今回, 経過を検討した2例では血清濃度にほとんど変化はなく, HD患者の成績と異なっており, さらに経過観察が必要と思われた. MGは腹膜クリアランス値が高値であるにもかかわらず, 経過観察例で血中濃度の低下は認められなかった. MGは細胞内に親和性が強く, 血中濃度は必ずしも全身のpoolを表わさない可能性もある. また, Crからの産生亢進が持続している可能性も考えられた.
  • affinity chromatography法による検討
    野村 佳成, 南條 輝志男, 栗山 茂司, 宮野 元成, 三家 登喜夫, 坂本 健一, 岡井 一彦, 曽和 亮一, 古田 浩二, 宮村 敬, ...
    1985 年18 巻2 号 p. 197-201
    発行日: 1985/04/30
    公開日: 2011/01/26
    ジャーナル フリー
    我々は慢性腎不全透析症例におけるglycosylated hemoglobinをYueらの方法に準じたアフィニティークロマトグラフィー法 (AC法) とイオン交換樹脂を用いた高速液体クロマトグラフィー法 (HPLC法) により測定し比較検討した.
    慢性腎不全透析症例45名 (HD群糖尿病症例22名, 非糖尿病症例23名) と腎障害のない非透析症例43名 (Non-HD群: 糖尿病症例21名, 健常者22名) を対象に, PBA30樹脂を用いたAC法によるglycosylated hemogbbin値 (G・Hb値), HPLC法によるHbA1a+b, A1c, A1値, ならびに血糖値 (PG) を測定した.
    成績は以下の通りである. 1) HD群, Non-HD群においてG・Hb値とHbA1a+b, A1c, A1各値との間に各々有意の正の相関関係 (P<0.001) を認めた. 2) HD群においてG・Hb値と透析前血糖値 (PG2h, すなわち朝食後2時間血糖値), 過去1カ月間の平均PG2h (PG2h) ならびに透析前後の平均PG (PG) との間に各々有意の正の相関関係 (P<0.001) を認めた. なお, 透析前後のG・Hb値に有意な差異は認められなかった. 3) HD群, Non-HD群においてG・Hb値とPG2hまたはHbA1値との間に各々有意の正の相関関係 (P<0.001) が認められたが, 両群の回帰直線間の差異より, 同程度のPGを有するHD群のG・Hb値や同程度のHbA1値を有するHD群のG・Hb値はNon-HD群に比し低値であった.
    したがって, 慢性腎不全透析症例のglycosylated hemogbblnは腎障害のない症例に比し低値であり, そのHbA1値にはAC法により測定されない腎不全物質の影響の存在が示唆された. また, 慢性腎不全透析症例におけるhemoglobinへの真のglycosylationを知るには測定時間の短縮や手技の簡便さでAC法の方がより有用であると考える.
  • 尾池 宗介, 井原 弘行, 駒井 實, 土田 晃靖, 河合 弘進, 桑原 泰正, 成清 卓二, 鎌田 英男
    1985 年18 巻2 号 p. 203-206
    発行日: 1985/04/30
    公開日: 2011/01/26
    ジャーナル フリー
    アンギオテンシンI変換酵素阻害剤であるcaptopril治療中の血液透析患者に顕著な味覚障害が出現した.その味覚低下はcaptopril投与中止と硫酸亜鉛投与で改善した.
    症例は33歳, 男性の血液透析患者, 1日量37.5mgのcaptoprilを投与されていた.投与開始7週後より高度味覚障害が出現した.電気味覚計検査では, 右大錐体神経領域, 舌咽神経領域, 鼓索神経領域, 左大錐体神経領域のすべてに反応は消失し, 左舌咽神経領域の味覚閾値は26dBで左鼓索神経領域では30dBだった. すべての領域で基本の4つの味覚, 酸味, 甘味, 辛味, 苦味が障害されていた.血清亜鉛濃度は65μ9/dlでcaptoprilを中止した. 発中止7日目, 味覚は自覚的および電気味覚計検査で軽度改善した. captopril中止65日目の全血亜鉛濃度は361μg/dlで, 硫酸亜鉛1日量150mg経口投与した. 投与6日目の電気味覚計検査ではさらに改善がみられ, 自覚的改善は顕著だった.亜鉛投与33日目の電気味覚計検査では, 味覚脱失部位はなくなった.
    この症例においては, captopril治療で惹起された亜鉛欠乏が味覚障害の原因と考えられた.
  • 北本 康則, 牧野 哲, 長井 克敏, 阿部 善治, 扇谷 博, 残間 保雄, 太田 美喜子, 二木 源, 田熊 淑男, 上田 仁, 門間 ...
    1985 年18 巻2 号 p. 207-212
    発行日: 1985/04/30
    公開日: 2011/01/26
    ジャーナル フリー
    血液透析患者における出血傾向の大きな原因として血小板機能の障害が考えられている.今回我々は, 血液透析患者のコラーゲンによる血小板凝集能およびガラスビーズへの血小板粘着能を測定し, 健常人との比較, 透析前後での比較を行った.健常人7例 (男子2例, 女子5例) と維持透析患者11例 (男子2例, 女子9例) を対象とした.
    PRPの血小板数を5×104/mm3~35×104/mm3, コラーゲン濃度を1~10μg/mlまで変え, 血小板凝集能を測定した.健常人, 透析患者ともに最大凝集率がプラトーに達する測定条件は, PRPの血小板数25×104/mm3, コラーゲン濃度5μg/mlであり, これを至適測定条件と考えた.至適条件で測定した結果, 透析前では健常人との間に有意の差は認められなかったが, 透析後では最大凝集率と最大凝集角度が健常人および透析前に比べ有意に低下した.血小板粘着能は透析前が5.3%と著しい低値を示したが, 透析後は15.3%と正常下限まで改善した.粘着能測定時のヘマトクリット (Ht) は透析前が27%, 透析後が31%と4%増加しており, 透析後の粘着能の増加はこのためかもしれない.血小板数は透析前が15×104/mm3, 透析後が17×104/mm3と有意の変化を示さなかったが, Htより計算した血液濃縮度を考慮すると, 血小板は透析中に約16%減少したことになる.
    以上の結果より, 透析患者のコラーゲンによる血小板凝集能は健常人に比べ, 透析前では低下していないが, 透析後に低下する事が明らかになった.その原因として透析回路による血小板の破壊, 吸着が考えられた.
  • 鈴木 靖, 林 直樹, 下條 文武, 大野 康彦, 池田 敏昭, 中村 忠夫, 荒川 正昭
    1985 年18 巻2 号 p. 213-217
    発行日: 1985/04/30
    公開日: 2011/01/26
    ジャーナル フリー
    尿毒症患者または慢性透析患者における悪性腫瘍の合併についての報告は多いが, 慢性骨髄性白血病の合併の報告は3例のみである.私達は慢性透析開始後に腫瘤形成性急性転化をきたして死亡した慢性骨髄性白血病の1症例を経験したので, 輿味深い経過とともに剖検所見を合わせて報告する.
    症例は45歳男性で, 昭和58年8月30日右前頭部痛と全眼球麻痺を主訴として当科に入院した.患者は51年3月より慢性透析を受けていたが, 55年7月白血球増多, 白血病裂孔を伴わない過形成性骨髄, アルカリフォスファターゼ・スコアーの低値, フィラデルフィア染色体の検索より, 慢性骨髄性白血病と診断され, その後特に自覚症状なく, busulfanにより白血球数も30,000-50,000/cummに維持されていた. 頭痛出現時の58年7月のCTでは, トルコ鞍近傍の腫瘤が認められた.
    入院時の骨髄所見および末梢血所見は慢性期の像を呈していたが, 造影剤を用いてCTを再検したところ腫瘤は海綿静脈洞に存在し, さらにトルコ鞍, 蝶形骨洞にまで及んでいたため, 慢性骨髄性白血病の腫瘤形成性急性転化と診断した.頭部照射により症状はすみやかに改善したが, その後皮下腫瘤が多発し, 骨髄所見も急性転化を示し, 消化管出血とこれに続発した高カリウム血症のため死亡した.
    剖検では, 腫瘤は皮下, 骨髄, 縦隔, 甲状腺, 消化管など全身臓器に及び, その光顕所見は大細胞型悪性りンパ腫様の所見を呈していた.
  • 松本 昭英, 吉田 ミチ子, 船井 勝七, 成山 陸洋, 西本 憲一, 米村 健一
    1985 年18 巻2 号 p. 219-224
    発行日: 1985/04/30
    公開日: 2011/01/26
    ジャーナル フリー
    前報において, 著者らはモルモットの交感神経-平滑筋標本を用いて, 腎摘出ウサギおよび慢性腎不全 (CRF) 患者の血漿中に, 神経経由性の平滑筋収縮を抑制する物質が存在することを明らかにした.その抑制の程度は, 低分子量 (分子量500以下) の物質を含む血漿成分において著明であった.
    そこで今回, 低分子量のuremic toxinsとして尿素, 尿酸, クレアチニンおよびメチルグアニジン (MG) に注目し, 前記の標本に対する作用を個々に検討した.これら4種の物質のテスト液中での濃度はsevereなCRF患者の血漿中濃度に模した.尿素 (200mg/dl), クレアチニン (20mg/dl) およびMG (200μg/dl) にはいずれも有意の効果が認められなかった.しかし, 尿酸 (10mg/dl) にはわずかながら (7±5%;平均±SD, n=7) 収縮増大作用が認められた.これら4種の物質を同時投与した場合にも増大作用が認められたが, その程度は尿酸単独投与の場合と同程度であった.
    次に, 正常クレブス液中のK+, Ca++およびMg++の濃度をsevereなCRF患者の血漿中濃度に模して変化させた場合の作用を同様の方法で検討した.高K+ (9mM) 液には増大作用 (14±11%, n=7), 他方, 低Ca++ (1mM) 液および高Mg++ (2mM) 液には抑制作用 (それぞれ56±25%, n=9および13±4%, n=6) が認められた.また, これら3種の電解質濃度を同時に変化させた液に強い抑制作用 (60±21%, n=8) が認められたが, この液に前記の4種の物質を含ませるとこれらの物質による増大作用の分だけ抑制作用が弱くなった.
    以上の結果から, 前報における血漿成分による平滑筋収縮の抑制作用は, 尿素, 尿酸, クレアチニンあるいはMGのいずれにも起因しないこと, 主にCa++を始めとする電解質濃度の変化が関与していると推定された.しかし, その他のuremlc toxinsが関与していることも予想され, 結論を得るには今後の研究が必要である.
  • 花岡 啓子, 阿部 理一郎, 福田 祐幹, 根岸 昌功, 増田 剛太, 川口 研二, 小池 盛雄
    1985 年18 巻2 号 p. 225-229
    発行日: 1985/04/30
    公開日: 2011/01/26
    ジャーナル フリー
    悪性組織球症は発熱, 衰弱, 全身りンパ節腫脹, 肝脾腫, 汎血球減少, 末期の黄疸などの臨床的所見に加え, 病理組織学的に異型組織球およびその前駆細胞の系統的な進行性の浸潤性増殖を特徴とするものと定義される.本症は生前に確定診断されることは少なく, また治療法も確立されておらず, 発症後約6カ月の経過で死亡する極めて予後不良な疾患である.今回われわれは当院で過去5年間に経験した本症5例のうち, 急性腎不全を呈した2例について報告し, 発生機序およびその対策に関する検討を加えた.
    症例1: 16歳, 男性.発熱, 肝脾腫, 肺のびまん性浸潤陰影のため入院. 骨髄穿刺, 骨髄生検により悪性組織球症が疑われたが, 確定診断のつかないまま非乏尿性急性腎不全となり, 入院後約1カ月で呼吸不全により死亡. 剖検で腎間質に著明な腫瘍細胞浸潤を認めた.
    症例2: 49歳, 男性, 発熱, 咳を主訴に入院.数回の骨髄穿刺により悪性組織球症と診断された.化学療法施行以前に高カルシウム血症, 意識障害, 非乏尿性急性腎不全を呈したが, 早期に血液透析を施行したことにより腎機能は一時的にほぼ正常範囲にまで回復した.化学療法を施行したが, 入院後3カ月で呼吸不全, 敗血症のため死亡した.剖検では腎間質に腫瘍細胞浸潤がみられ, 尿細管へのカルシウムの沈着が著明であった.
    本症の急性腎不全の特徴は腎間質への腫瘍細胞浸潤と高カルシウム血症による腎障害であり, これらに脱水, shock等の腎前性因子, 感染, 薬剤などが関与して急性腎不全が惹起されるものと推測される.また対策としては早期に血液透析を施行し, 同時に強力な化学療法を行うことが重要であり, その結果腎へ浸潤した腫瘍細胞の増殖を抑制し, 腎機能の回復, さらには本症患者の生存期間の延長が期待できる.
  • 坂下 恵一郎, 鹿島 伸康, 中島 弘二, 早川 康則, 柴田 守, 伊藤 晃, 山崎 親雄, 四ツ谷 征登, 杉丸 喬
    1985 年18 巻2 号 p. 231-236
    発行日: 1985/04/30
    公開日: 2011/01/26
    ジャーナル フリー
    透析液の低流量化に関して, 以下の検討を行った.1.24症例を対象に, QD300ml/minとした透析を長期間 (最長38週) 施行した.結果は, 大面積ダイアライザー使用群において, 透析前BUNが低減後2カ月以降に有意な上昇を示し, 透析前クレアチニンは, 低減後上昇傾向にあるが, 有意な上昇は3カ月目のみであった.標準および小面積ダイアライザー使用群では, 透析前BUNやクレアチニンの上昇は認められなかった.カリウム, カルシウム, リンは, 変更後も変化なく, 貧血の亢進も認められなかった.2.QD500ml/minおよび300ml/minでの溶質除去量を測定したところ, 溶質除去量は透析前血中濃度と有意な正の一次相関をもつこと, 溶質除去能 (M/C0), QD 500ml/minの時の方が高いことがわかった. 3.4種類のダイアライザーを用い, QD500ml/min, 400ml/min, 300ml/minのときのクリアランスを脈動流および平滑流にて測定した.QDやダイアライザーの違いにかかわらず, 脈動流と平滑流とではクリアランスに差はなかった.
    以上の検討により, 脈動流, 平滑流のいずれにおいても, QD300ml/minでの低流量透析は可能と考えられる.
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