抄録
透析患者の酸塩基平衡の特殊性を明らかにするために, 新しい統計学的手法であるスペクトル解析法を用いて研究を行った. その結果, 透析患者の血液ガスおよび重炭酸の変化には, 蛋白・アミノ酸の代謝をはじめとするきわめて多因子が影響を及ぼしている事が明らかにされた. また電解質の変動は, それ自体としてはあまり直接的な因子とは考えられず, むしろ他の代謝網の変動を介する間接的なものが主である可能性が示唆された. またインパルス応答の結果により, 代謝性アシドーシスが貧血や血圧に対しても影響するという成績が得られた.