日本透析療法学会雑誌
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合成抗トロンビン剤 (MD 805) の抗凝固作用のモニタリング法について
松尾 武文島野 ちか子大木 康雄
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1986 年 19 巻 10 号 p. 1005-1008

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抄録

合成抗トロンビン剤 (MD 805) の抗凝固作用のモニタリング法については知られていない. 今回は, APTTと活性化凝固時間 (ACT) によるMD 805のモニタリングについて, ヘパリンを基準としてin vitroで実験を行った. 健常人より採血し, in vitroでヘパリンを添加し, APTTが添加前の基準値の1.5-2.5倍に延長するヘパリン濃度は, 0.1-0.34単位/mlを設定した. 同時に測定したACTでは1.14-1.48倍の延長を得るためのMD 805の血中濃度は, 0.23-0.75μg/mlであった. この濃度でのACTの延長は基準値の1.14-1.56倍であった. 結論として, MD 805使用に際してACTによるモニタリングがこの範囲にあれば, 十分な抗凝固作用が得られ, かつ出血の危険もないと考えられた.

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