日本透析療法学会雑誌
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持続的血液濾過法 (CAVH) の評価と問題点
峰島 三千男山形 桂仁江良 和雄佐中 孜阿岸 鉄三太田 和夫
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1986 年 19 巻 10 号 p. 999-1003

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抄録

全身性浮腫や急性腎不全患者に対して, 持続的血液濾過法 (CAVH) が臨床応用されている. 本研究では入手された4社8種のCAVH用濾過器の性能を比較検討することを目的とした. そのためにin vitroにおいて定圧濾過実験を行った. 被験液としては血漿交換療法で得られたヒト廃棄血漿を用い, 37℃恒温下にて実験に供した.
その結果, 膜間圧力差 (TMP) を変化させたところ, いずれの膜においてもTMP>400mmHg以上で濾過流束はプラトーに達し, 蛋白によるゲル層の形成が予想された. そこで次に限外濾過膜に対するゲル分極モデルの解から導出されたパラメータを用いデータを整理したところ, いずれも強い直線相関がみられ, モデル適用の妥当性が確認された. これらの直線の傾きが大きいほど透水性の高い膜と言えるが, cellulose triacetate, polyacrilonitril, polyamide, polysulfoneの4種の膜で大きな差異は認められなかった.
一方, in vivoでは47例の患者に対してCAVHを適用し, 状況に応じて血流量を確保するためポンプを使用したり, 溶質除去を助長するために積極的に置換を施行した. 置換を余儀なくされたのは全体の2/3に及び, 純粋なnon-machineのCAVHは全体のわずか6.5%にすぎなかった. そこで平均的なCAVH患者に補液を用いた置換が必要であるか否かをコンパートメントモデルを用いて試算した. 平均的な慢性腎不全患者の1週間平均濃度レベルと同じレベルを維持するには尿素で8.5ml/minのクリアランス, すなわち12.2l/dayの置換を要することが明らかとなった. CAVHのような連続的な治療では代謝生成速度は緩徐になることが予想されるが, 平均的には1日10l程度の置換が必要と思われた.

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© 社団法人 日本透析医学会
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