日本透析療法学会雑誌
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糖尿病性腎不全の透析療法について統計的観察
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1986 年 19 巻 9 号 p. 859-863

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抄録
兵庫県下, 30施設での, 過去5年間の糖尿病性腎不全患者 (現在透析中の症例128名および死亡例112名) について, その合併症の頻度および死因との関係, また長期透析例の特異点につき, アンケートによる回答をもとに観察を試みた.
現在透析症例において, 導入時の諸検査のうちBUN, クレアチニンについては5年以上の長期透析例にクレアチニン高値の傾向が認められた. また合併症においては高頻度に高血圧が認められ, 次いで心不全, 冠不全, 心包炎等であった. 透析期間別に分けて比較したが, 5年未満の群には特に合併症について特異的な傾向は認められなかったが, 5年以上の長期透析例では高血圧, 視力障害の合併例の少ない事が特異的であった.
死亡例において, その死因として, まず心不全, 脳血管障害, 次いで感染症であるが, その他, 消化管出血, 悪液質が認められた, インスリン投与については5年以上の透析群で著減が認められ, 全例におけるインスリン使用群の生存率は非投与群に比して有意の低下が認められた.
また透析導入の年齢と生存期間の関連は, 対象はいずれも40歳以上が多いが, 少数でにあるが40歳以下の比較的若い年齢層で, 生存期間の長期化傾向が認められるが, 40-70歳までの群との有意の差は認められなかった.
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© 社団法人 日本透析医学会
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