日本透析療法学会雑誌
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アミロイド腎症による慢性透析患者の問題点
岡田 義信高野 吉行森田 幸裕佐藤 建比呂鈴木 亨丸山 雄一郎下条 文武川田 一也山川 能夫荒川 正昭
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1987 年 20 巻 8 号 p. 631-637

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抄録

腎不全のため血液透析を行った全身性アミロイドーシス12例 (骨髄腫随伴1例, 原発性4例, 続発性7例) について検討した. 続発性症例の原疾患は, RA 3例, 慢性腸炎1例, 中耳炎1例, 結核1例, ベーチェット病1例であった.
初診時主訴は, 蛋白尿が7例と最も多く, 下痢3例, 巨舌1例, しびれ感1例であった. ネフローゼ症候群は8例に認められ, 治療抵抗性であった. 心アミロイドーシスが認められた症例は高窒素血症は軽度であったが, 肺浮腫のため早期の透析導入を余儀なくされたが, いずれも早期に死亡した. 心アミロイドーシスが認められない症例でも, 肺浮腫や全身浮腫のため早期の透析導入が行われた. 臨床的に心アミロイドーシスと診断されない例でも, 心エコー図, 心電図に異常所見が多く, 治療に抵抗性で, 心へのアミロイド物質と沈着が強く疑われた. また, 透析導入後新たに心アミロイドーシスが認められ, 心伝導障害のため死亡した症例もあり心アミロイドーシスは本症透析例の予後を左右する重要な因子と考えられた.
腎, 心以外の障害としては, 透析中の血圧低下, 内シャント障害, 下痢, 腹痛などの消化器障害, 皮膚掻痒感, 甲状腺機能低下などが認められた. いずれも難治性であったが, 皮膚掻痒感に対してHDF, 甲状腺機能低下に対して甲状腺ホルモン薬が有効であった.

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© 社団法人 日本透析医学会
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