抄録
Valsalva洞動脈瘤破裂は大動脈基部のValsalva洞が下外方に拡大突出し破綻する比較的稀な疾患である. 我々は本症を合併した慢性腎不全症例を経験した. 患者は44歳男, 昭和55年IgA腎症と診断され, 腎機能が低下傾向にあった. 昭和61年4月突然胸部圧迫感・労作時呼吸困難が出現, 連続性心雑音も認められ, 腎機能も急激に低下したため, 当科に入院した. クレアチニンクリアランスは6-8ml/minと比較的保たれていたが, 腎機能低下による心不全の増悪, ならびに心臓カテーテル検査・大動脈造影・開心術による腎不全の増悪の可能性を考慮し, 早期に血液透析に導入し, 根治術を施行し良好な結果を得た.