日本透析療法学会雑誌
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慢性血液透析患者に対するカルチトニン (Elcatonin) 長期投与の効果検討
川西 秀樹平林 晃新原 亮星野 修司高橋 直子森石 みさき永井 賢一山下 達博土谷 太郎
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1988 年 21 巻 3 号 p. 317-323

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抄録
慢性透析患者のRenal osteodystroph (ROD) に対するカルチトニン (CT) の長期投与効果について検討するため, 二次性副甲状腺機能亢進症 (2°HPT) によるものと考えられるRODを有した安定透析患者に対しCT製剤を連続して5年間投与した. 28症例 (男17, 女11) を対象としてElcatonin 40-120単位を透析中に持続注入した. 1-α(OH)D3は全例投与されており可能な限り一定量に保った. 定期的な血液検査に加え, microdensitometry (MD法) で骨性状を評価した. 血中Caは正常範囲内で上昇, Pは6mg/dl以上の症例は正常値へ低下しCa×P値も低下した. AL-P値は開始時15KAU以上群では, CT投与によって徐々に減少し48ヵ月後には有意に低下し (p<0.05), 15KAU未満群でも減少した. またC-PTHは高値を示したがCT投与によって変動は認めなかった. 血中CT値は正常域内の変動であった. MD法の変化をみると, いずれも開始時正常成人の下限を示していた. MCI, ΔGSminは開始時それぞれ0.45±0.05, 1.92±0.46であったが, 経過中変動を認めず42ヵ月後も0.47±0.07, 1.93±0.39と維持されていた. 一方ΔGSmaxは3.06±0.48から徐々に増加傾向を認め3.27±0.53となり, ΣGS/Dも2.22±0.40から2.35±0.41と約6%の増加傾向を示した. AL-P値との関係をみると, AL-P高値群ではいずれのパラメータも低値群に比して有意に低下していた (p<0.05). 一方CT投与によって鉱質量を表すΔGSmax, ΔGSmin, ΣGS/Dの改善率はAL-P高値群で良好であった. MD法評価基準による骨改善効果をみると投与6ヵ月ですでに50%の症例に中等度以上の改善を認め, 42ヵ月後でも中等度以上の改善は50%にみられ軽度以上改善を含めると75%の改善率であった. CT製剤は, 活性型VD3投与によってもAL-P値の上昇を抑制できないようなROD症例, つまりPTH値が高く抑制困難な2°HPTに対しよい適応があるものと考えられる.
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© 社団法人 日本透析医学会
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