抄録
維持透析患者の血中アルミニウム (Al) 濃度を測定し, デスフェロキサミン (DFO) テストを行い, Al蓄積量の多いと考えられる症例に対してDFOを3カ月間投与した.
対象: 維持透析患者75例, 平均年齢47.9±13歳, 平均透析歴7.4±3.5年.
方法: 1) DFOテスト; 透析終了時にDFO 2.0g点滴静注しDFO投与前, 次回透析前の血中Alを測定し, その差をΔAlとした. 2) DFO治療; ΔAl 100μg/l以上の21例にDFO 1gを週1回透析終了時に3カ月間投与した. Alは無炎原子吸光法にて測定した. 透析液はキンダリーAF-IP号で水処理は 1) 軟水装置, 2) 活性炭, 3) 逆浸透, 4) イオン交換樹脂にて行っており, 透析液Al濃度は1μg/lであった. 逆浸透装置は8年前より用いていた.
結果: 1) 血中Al濃度は36.0±19.0μg/l (M±SD), ΔAlは72.1±39.6μg/l (M±SD) であった. 2) ΔAlと血中Al濃度はr=0.444と弱い相関を示した. 3) 血中Al濃度およびΔAlとHb, Ht, 赤血球数, 平均赤血球容積 (MCV), 平均血色素濃度 (MCH) との間に有意の相関を認めなかった. 4) ΔAlの分布は二峰性で100μg/l以上がAl異常蓄積群と考えられた. 5) ΔAlと透析歴, アルミゲル投与量とは相関する傾向を示した (r=0.50, 0.51). 6) DFO 1g/週 投与により血中Al, ΔAl, Hb, Ht赤血球数, MCHの改善を認めた. 7) DFO治療によりPTHは低下したがフェリチンは変化しなかった.
以上の成績よりAl蓄積症例の貧血はDFOにより改善が認められ, 透析患者の貧血にAl蓄積も関与していると考えられた.