日本透析療法学会雑誌
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腎移植患者の長期予後と社会復帰の現況
岡 隆宏安村 忠樹相川 一郎
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1988 年 21 巻 8 号 p. 737-741

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抄録
腎移植後の長期予後と社会復帰の現況を検討する目的で, 京都府立医科大学第二外科で腎移植を施行し10年以上経過した72例を対象として, 生存率, 生着率, 及び10年生着にかかわる諸因子, 合併症について検討し, 同時に移植後1年以上生着した症例54例を対象として, アンケート調査による検討を行った. 腎移植後, 10年生存した症例は72例中57例, 生着したものは39例であり, 実例生存率は79%, 生着率は54%であった. さらに10年以上生着した症例では, その後の死亡例はなく, 3例が慢性拒絶反応で血液透析にもどったため, 10年以降の5年生着率は87%となる。 10年以上の生着に影響を及ぼす因子としては, 術前ではドナーの年齢が50歳未満であること, 術後では慢性拒絶反応の出現であった. 10年生着症例に, 特に重篤な合併症は出現しないが, 肝機能障害が問題となる. 腎移植後の社会復帰の状況は, 完全社会復帰率が89%ときわめて良好であり, 一日の労働時間8.5時間, 一週間の休日数1.2日と, 健康人とほとんど変わりのない社会生活, 家庭生活を送っており, 患者の健康感でも90%以上の患者が, 血液透析の頃よりも健康になったと感じていた. このように腎移植は慢性腎不全に対するきわめて有利な治療法といえる.
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© 社団法人 日本透析医学会
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