日本透析療法学会雑誌
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血液透析患者における貧血改善後のリコンビナント・ヒト・エリスロポエチンの維持投与の検討
中塚 喜義日野 雅之三木 隆己西沢 良記田畑 勉井上 隆森井 浩世
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1989 年 22 巻 12 号 p. 1365-1371

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抄録

著明な貧血を呈する慢性腎不全血液透析患者にリコンビナント・ヒト・EPO (rEPO) を投与し, 貧血改善後至適ヘマトクリット (Ht) 値を維持するのに有効な投与方法を検討した. 初期投与法は34例全例3,000IU週3回で行い, Ht値が27%に達した時点より維持投与に移行した. 維持投与としては予あ無作為にA, Bに分け, Ht値を27-33%に維持するように, 3,000IUで週投与回数を減少あるいは増加する (A群), または週3回投与で1回投与量を減量あるいは増量する (B群) することとした.
この結果, 初期投与ではrEPO投与1週後より有意の (P<0.001) Ht値の上昇を認め, 3-12週間でHt27%に達し維持投与に移行した.
維持投与後A, Bともに目標Ht値27-33%内に良好にコントロールされた. 維持投与の評価では群間で有意差を認めず, A, B群間の週当りの総投与量が異なる点を考慮する必要があるが, A群でHt値の目標維持レベルを外れる症例が多くHt維持のばらつきが大きい傾向にあった. これらのことより, 維持投与方法としては投与間隔を拡げる (A群) よりも, 1回投与量を減ずる (B群) の方がHt値を一定レベルに維持するのに有効であると考えられた.
血液透析毎に週3回投与は血中エリスロポエチンレベルをある有効濃度に保ち, 標的細胞である後期赤芽球前駆細胞およびそれ以前の赤芽球系幹細胞の分化誘導の持続に重要であることも示唆された.
副作用は4例 (11.8%) において認められ, いずれも血圧上昇, 頭痛であったが投与を継続することが可能であった.

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