抄録
洗浄赤血球のAl濃度 (RBC-Al) をフレームレス原子吸光を用いて, 透析導入前の慢性腎不全患者, CAPD患者, HD患者について測定し比較検討した. HD患者ではdesferrioxamine (DFO) 負荷試験のRBC-Alに対する影響についても経時的に観察した. RBC-AIは, 健常者 (検出感度以下) <透析導入前の慢性腎不全患者<CAPD患者≒HD患者の順に高値を示した. 透析導入前の慢性腎不全患者のRBC-Alは腎機能と相関がみられなかった. HD患者では, アルミゲルと血清は正相関したが, アルミゲル服用量とRBC-Alの間には相関関係が認められず, 非服用HD患者でもRBC-Alは高値であった. HD患者にDFOを投与した場合, 血清Alは7日後には投与前値まで低下したがRBC-A1の低下, 血中ヘモグロビン値の上昇には約1か月を必要とした. 血清AlとRBC-Alの変化は互いに独立したものであった. またRBC-Alは限外濾過されたことから, 赤血球でのAlは何らかの物質と結合した形であることが示唆された.