日本透析療法学会雑誌
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外来透析患者に対するビタミンC補給の必要性と毒性
小野 慶治
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キーワード: ビタミンC, 蓚酸, 透析
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1990 年 23 巻 1 号 p. 93-97

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抄録

透析中の濾失や新鮮な果物・葉野菜の摂取制限によって長期透析患者ではビタミンC (VC) 欠乏を招き易くVCが補給されてきた. このVC補給の必要性や毒性について, 臨床的に安定した61名の外来透析患者を対象に4年間の長期に亙って検討した.
VC 500mg/日が与えられていた最初の2年間では血漿中VC値は最高7.8mg/dl (平均3.3±0.4SEM) まで上昇し, 血漿蓚酸値も平均61.5±3.3μmol/l (33.3-165.5μmol/l) と高値を示した. しかし, VC投与が中止された後半の2年間には血漿VC及び蓚酸値は各々平均1.2±0.2mg/dlと36.3±3.3μmol/l (p<0.01) と低下した.
また, 両期間中Ht, Cr等には変化なく, 37℃以上の発熱など病的状態, 入院数, 死亡数や輸血必要例など臨床所見にも差異は認められなかった.
VC投与によって透析患者の血漿中蓚酸値が上昇し二次性蓚酸症の増悪する毒性のみが認められた事から, 外来透析患者では十分な食事もしているかぎり, VC補給は効果も必要性もなく, かえって毒性だけがあると考えられる.

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