日本透析療法学会雑誌
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慢性血液透析患者の上部消化管病変に及ぼす諸因子について
大野 敦横関 一雄鹿島 孝入江 康文植木 彬夫伊藤 久雄
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1990 年 23 巻 2 号 p. 147-151

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抄録
慢性血液透析患者250名に, 2回以上上部消化管レントゲン検査を施行し, その所見と臨床データとの関連をretrospectiveに検討した. 患者をレントゲン所見により, 正常群, 慢性胃炎群, 胃・十二指腸潰瘍群, その他に分け, 各群の年齢, 男女比, 透析期間, 生化学データ, 透析中の血圧変動, 心電図R-R間隔変動係数 (CV) および自律神経の自覚症状を, 正常群と他の3群との間で比較した.
潰瘍群では正常群に比し, 年齢と男性の割合が高かったが, 透析期間には有意差を認めなかった. 生化学データでは, 透析前の値はいずれも有意差が見られなかったが, 透析前後の差で見ると正常群に比べ潰瘍群で無機リンの改善が少なかった. 一方潰瘍群では, 収縮期血圧の透析による変動率が正常群に比し有意に大きかったが, CVはやや低め, 自律神経の自覚症状はやや強めの傾向にとどまった.
今回の結果より, 消化性潰瘍の一因として, 血圧低下に基づく粘膜血流の減少による防御因子の低下が考えられる. 一方, 自律神経障害や無機リンの影響については, 今後さらに検討が必要と思われる.
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