日本透析療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-6211
Print ISSN : 0911-5889
ISSN-L : 0911-5889
CAPDカテーテル出口部感染におけるバンコマイシン療法
須賀 孝夫松本 行夫中島 桂子宮崎 正信遠藤 正之野本 保夫堺 秀人
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 23 巻 4 号 p. 355-359

詳細
抄録
昭和61年10月より63年9月まで外来通院中のCAPD患者55名に出現した33回の出口部感染 (1/24.1患者・月) に対し, 第一選択薬として塩酸バンコマイシン (VCM) を20mg/kgを隔週で4週間, 静脈内投与した. 出口部感染の起炎菌は黄色ブドウ球菌が24例, 表皮ブドウ球菌が3例, コリネバクテリウム2例とグラム陽性菌が29例, 87.9%であり, その他はセラチア2例, アシネトバクターとノカルジアが1例ずつであった. VCMはグラム陽性菌による出口部感染の27例に有効であり, 全体に対しては81.8%, グラム陽性菌に対しては93.1%に有効であった. 出口部感染の頻度は欧米に比し高く, 我が国の多湿な気候が関連していることが示唆された.
副作用は数例に掻痒感が出現したが, 投与速度を遅くすることにより軽快した. VCMは週1回の投与で有効であり, CAPD出口部感染はグラム陽性菌が多く, 外来での管理に有用であると思われた.
著者関連情報
© 社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top