2025 年 32 巻 4 号 p. 71-85
複合ストレングストレーニングは、プライオメトリックエクササイズと伝統的なストレングスエクササイズを組み合わせたものである。このトレーニング方法は、バスケットボールにおける垂直跳びパフォーマンスの向上を目的に、様々なプロトコル(コンプレックストレーニングやコントラストトレーニングなど)を用いて実施される。複合ストレングストレーニングは、活動後増強(PAP)の理論に基づいており、神経筋系における生理学的変化によって、一時的なパフォーマンス向上が可能となる。本稿のレビューではPICOS基準に従い、研究の採用と除外を決定した。検索は、電子データベースのGoogle Scholar、PubMed、およびScopusにおいて2022年9月1~7日に実施した。複合ストレングストレーニングがバスケットボールにおける垂直跳びパフォーマンスにもたらす効果を、異なるトレーニング方法と比較した結果、複合ストレングストレーニングに中程度の効果が認められた(効果量[ES]=1.11、95%信頼区間[CI]:0.63~1.60、I2=82%)。システマティックレビューおよびメタアナリシスの結果、バスケットボールに様々な様式で適用される複合ストレングストレーニングは、垂直跳びパフォーマンスの向上効果において、他のトレーニング方法より優れていることが明らかになった。一方、複合ストレングストレーニングの各プロトコル間に差は認められなかった。アスレティックパフォーマンスの専門職は、同じトレーニングシーズンにプライオメトリックエクササイズと伝統的なストレングスエクササイズを組み合わせて処方することで、ジャンプパフォーマンスを向上させる効果が期待できる。