1990 年 23 巻 6 号 p. 633-637
透析導入前5症例, 導入後の患者45例と健常人45例の血清free light chain (FLc) を測定した結果, 1. 透析患者の血清FLc濃度は導入前患者よりも高く, 2. FLcの特にλ型がκ型よりも高かった. 3. これらの事実は種々の合併症, 例えばlight chain deposits diseaseや手根管症候群を主とするHD amyloidosisの原因として考えられ, それらの予防のために除去対象の1つとして十分と考えられた. 4. FLcの高濃度が要因である病態の他疾患の解明にも今後十分に役立ち得ると思われた.