抄録
慢性関節リウマチ (RA) に続発する全身性アミロイドーシスにて透析導入後著明な消化管症状を呈した症例を報告する.
症例は40歳の女性. 約10年のRA罹病期間の後, 尿蛋白の増加および腎機能不全を呈し, 透析導入に至った. 導入後, 嘔気嘔吐の消化管症状が増強し, かつ難治性の下痢および下血の出現をみた. 胃カメラおよび大腸ファイバーにて消化管アミロイドーシスを疑ったが, その後も治療困難な下血が続き, 透析導入後約1か月で死亡した. 死後の組織検査にて, AA型アミロイドーシスと組織診断された.
RAに伴うアミロイドーシスは, 急激な尿蛋白の増加, または腎機能の急激な低下が初期徴候として現われることが多い. このような状況においては, できる限り早急に腎生検を施行し, 確定診断の後早期に治療を試みることが望ましいと考える.