日本透析療法学会雑誌
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血液透析患者に対するCaCO3投与の検討と1α(OH)D3/CaCO3交互投与法による高Ca血症予防効果
塚本 雄介吉田 煦永岡 隆野村 幸範阪 聡
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1991 年 24 巻 5 号 p. 625-629

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抄録
46名の慢性血液透析患者を2群に分け, リン吸着剤としてAI (OH)3を服用させるAI群, 一切のAI製剤の服用を中止しCaCO3を投与するCa群とした. 6か月間の観察により, 血清AI値はAI群で86.1±38.9μg/l (mean±SD) より71.5±47.7μg/lへ低下したものの (p<0.05), DFO負荷試験によるAIには有意な減少はみられなかった. 一方, Ca群では血清Alが69.2±34.3μg/lより37.7±36.1μg/lへ著明な減少 (p<0.01) が見られただけでなく, AIも141±93μg/lより77.4±63.1μg/lへほぼ半減した. このことから, 血液透析患者のAI蓄積は明らかに経口的なAI製剤の摂取が原因となっており, AI (OH)3の中止とCaCO3の投与が有効であることが明らかとなった. さらに, CaCO3, と1α(OH)D3の併用により高Ca血症を来す症例に新しい治療法として1α(OH)D3/CaCO3交互投与法を開発した. これは透析日のみに極力大量の1α(OH)D3を投与し, CaCO3は非透析日のみに投与するという方法である. この方法により, 全く1α(OH)D3を投与できなかった13例中8例に投与が可能となった. この方法でも高Ca血症を防ぎ得なかった5例にはPTH, AI-P共に低い骨軟化症あるいは無形成骨の存在が疑われた.
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© 社団法人 日本透析医学会
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