日本透析療法学会雑誌
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維持透析中にメトクロプラミドによる悪性症候群を合併した1例
長谷川 真二松隈 英樹松尾 哲高橋 稔川村 実土田 弘基
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1991 年 24 巻 6 号 p. 731-733

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抄録
今回我々は維持透析患者に悪性症候群が合併した稀な1例を経験したので報告する.
糖尿病性腎症により維持血液透析中の42歳男性が, 高熱と, 眼振, 手足の振戦, 幻覚幻聴により入院した. 血液検資の結果, GOT459IU/l, LDH 1,669IU/l, CPK 529IU/l, aldolase13.3mU/ml, myoglobin 3,200ng/mlと異常を認め, 著明な低酸素血症 (PO227.1mmHg, PCO242.8mmHg) を合併していた. 患者は, 制吐剤として頻用される塩酸メトクロプラミド (metoclopramide hydrochloride: 30mg/日) を5か月間内服していた. また発熱, 自律神経症状・錐体外路症状・意識障害の症状より悪性症候群 (syndrome malin) と診断した.
このため薬物の中止と臨時に血液透析を行い症状は改善し, 良好な経過を示した.
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© 社団法人 日本透析医学会
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