抄録
高リン血症を呈する患者に対し, 適正な蛋白摂取を維持しつつリン制限食を行う試みとして, リン・蛋白比に基づくリン含有表を独自に作成し, それによる栄養指導の方法について検討した. 対象は安定期透析患者で, 3回の透析前平均血清リン値が6.0mg/dl以上の6名 (男2名, 女4名, 年齢29-66歳) である. 方法は, 指導前と, 指導開始2週, 6週, 12週, 16週後の血清リン値, 血清総蛋自, リン摂取量, 指示蛋白量に対する蛋白摂取率について比較検討した. 結果は, 指導開始前3回の平均血清リン値7.0±04mg/dlから, 指導後徐々に低下し, 12週後に5.6±0.6mg/dl, 16週後に6.0±0.9mg/dlと, 推計学的に有意 (p<0.01, p<0.05) な低下となった. また, 血清総蛋白は, 指導前の平均5.7±0.4g/dlから, 12週後に6.0±0.6g/dl, 16週後には5.9±0.5g/dlと有意 (p<0.025) な増加となった. リン摂取量は, 指導前663±72mgから12週後572±66mg, 16週後591±107mgと減少し, 蛋白摂取率は指導前83.7±17.2%から, 12週後84.0±17.6%, 16週後88.1±16.3%と指示蛋白に近くなる傾向が認められた. これらのことから, 我々の考案したリン・蛋白比に基づくリン含有表は, リン制限食の栄養指導の方法の1つとして有用であると思われた.