日本透析療法学会雑誌
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1α-hydroxyvitamin D3投与中の血液透析患者の血中vitamin D metabolitesに対するursodeoxycholic acidの効果
弓田 滋野月 満上田 仁藤倉 良裕関野 宏
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1992 年 25 巻 8 号 p. 887-891

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抄録
Ursodeoxycholic acid (UDCA) は脂溶性ビタミンの吸収を改善するとされ, 実際に腸切除後の症例において血中25(OH)Dを上昇させることが報告されている. 今回我々は1α(OH)D3投与中の維持血液透析症例の血中vitamin D metabolitesの値に及ぼすUDCAの効果を検討した. 1.0μg/日の1α(OH)D3, が投与されている維持血液透析患者16例を対象とし, 10例には体重kg当り1日10mgのUDCAを, 6例には同量のplaceboを昼夜の2回に分けて投与した. UDCA投与1か月後, 血清胆汁酸中のUDCAの比率および脂肪酸には有意の上昇が認められた. UDCA投与群では25(OH)Dは有意に上昇したが (P<0.005), 1,25(OH)2Dは逆に有意に減少した (P<0.005). Placebo投与群では両者に有意の変動は認められなかった. 以上の結果より1α(OH)D3投与中の慢性腎不全の症例に対するUDCAの投与は血中1,25(OH)2Dを低下させることがあり, 注意を要する.
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© 社団法人 日本透析医学会
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