日本透析療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-6211
Print ISSN : 0911-5889
ISSN-L : 0911-5889
慢性透析患者における出産の1例
坂口 恵子小畑 拡嗣打田 和宏坂口 俊文阿部 富彌藤永 宏行仲野 良介
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 26 巻 10 号 p. 1633-1638

詳細
抄録
慢性透析患者における出産の1例を経験したので, 報告する.
症例は23歳の女性. 透析歴7年, 妊娠20週に子癇発作と思われる痙攣発作を起こし (この時, 血圧240mmHg/140mmHg), 以後入院の上管理された. 子宮内胎児発育遅延 (IUGR) の進行のため, 34週で帝王切開にて, 870gの女児を出産した. 児はApgar score 8-10, 奇形等はなかった.
慢性透析患者の出産例の合併症としては, 切迫流早産, 羊水過多, 肝障害, 弛緩出血が多く報告されており, これら合併症の治療, 予防に細心の注意を払わねばならない. さらに, BUN≦60mg/dlに保つべく, 頻回の透析を行うこと, Ht 30%以上を目標にrh-EPOにより貧血の改善を行うことが大切である.
著者関連情報
© 社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top