日本透析療法学会雑誌
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血液透析患者における徐放性バルプロ酸ナトリウムの有効性の検討 血中濃度の変化
秋岡 祐子長田 道夫久保田 玲子武田 優美子泉 達郎伊藤 克己
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1993 年 26 巻 11 号 p. 1677-1681

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抄録
通常のバルプロ酸普通製剤 (C-VPA) では痙攣発作を抑制できなかった1例を含む, 徐放性バルプロ酸ナトリウム (SR-VPA) が有効だった血液透析施行中の3症例について, 血中濃度の動態を知る目的で, 透析前, 透析中 (1, 2, 4時間), 透析後4時間の総VPA濃度 (T-VPA), 遊離型VPA濃度 (F-VPA), 遊離型分画 (FF) を測定し, C-VPAと比較検討した.
その結果, SR-VPAのFF値の変動は20.2±3.7%であり従来報告されているC-VPAのFF値と同様に高値を示した. FF値は, 透析開始後さらに上昇し終了とともに急激に低下したが, SR-VPAではT-VPAの透析中の変動幅が小さいため, 透析終了後のF-VPAはFF値の急激な低下にも拘わらず有効治療域を維持していた.
以上の結果から, SR-VPAは血液透析患者に対して, C-VPAの問題点であった透析後のF-VPAの低下を解消し, 透析後の痙攣発作の抑制に有効と考えられた.
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© 社団法人 日本透析医学会
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