日本透析療法学会雑誌
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胃異所性石灰化を合併した血液透析患者の1例
伊藤 正典畠山 収一久慈 一英宮内 勉森 保人伊藤 利之北野 博嗣泊 康男
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1993 年 26 巻 11 号 p. 1709-1713

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抄録
胃異所性石灰化を合併した長期血液透析患者の1例を経験したので, 臨床所見と合わせ報告する.
症例は49歳, 男性. 18年の血液透析歴をもつ長期透析患者であった. 心窩部痛の訴えがあり, 胃内視鏡を行ったところ, びらん性胃炎と診断された. さらに, 生検標本にて, 胃粘膜内に石灰化が認められ, 異所性石灰化と診断された. 骨シンチグラムでも, 胃に集積がみられた. 胃運動機能を評価する目的で, 胃排出時間を測定したが, 固形食, 液体食ともに遅延は認められなかった.
臓器異所性石灰化は, 尿毒症の合併症のひとつと考えられるが, 胃異所性石灰化の臨床的意義について, これまで言及した報告はない. 本例では, 内視鏡検査では出血を伴った胃粘膜のびらんが認められた. また, 胃排出時間を検討した結果では胃運動機能は障害されていなかった. しかし, この点に関しては, さらに経過観察が必要と思われる.
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