日本透析療法学会雑誌
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血液透析時の好中球superoxide anion産生に対するセファランチンの抑制効果についての検討
横田 武彦横田 欣也松浦 達雄志和 正明
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1993 年 26 巻 11 号 p. 1703-1708

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抄録
セファランチン (Cep) の有するサイトカイン抑制作用, 活性酸素消去作用に注目し, 血液透析時の投与が末梢白血球数, 好中球O2-産生能に及ぼす効果と, TNF-α, IL-1β, IL-8との関係について検討した.
まずin vitroで1) recombinant human TNF-α, recombinan thuman IL-8が好中球O2-産生能を濃度依存性に亢進することと, 2) Cepがzymosan刺激による好中球TNF-α, IL-1β産生を抑制することを確認した.
次いで臨床試験として3) Cep投与量を20mgと設定し, 透析開始時に投与. 投与前, 透析開始後15分, 4時間の各パラメータをみた.
末梢血白血球数は15分で投与前の75.9±12.8%に減少し, 4時間で103.8%に回復していた. これは非投与群の15分76.7±5.9%, 4時間99.7±11.2%と有意差はなかった. 好中球O2-産生能は非投与群の15分が投与前の184.2±43.4%と著明に亢進, 4時間でも116.3±40.0%であったのに対し, 投与群では15分で54.3±23.1%と著明に抑制, 4時間でも70.2±29.3%とその効果は持続していた. TNF-α, IL-8, IL-1βは個々の症例によってばらつきが多く, 一定の経時的変動は確認できなかった.
以上よりCep 20mgの静注投与では透析中の白血球数減少を抑制することはできなかったが, 透析時の好中球O2-産生を4時間にわたり抑制することが明らかとなった. その機序については血清TNF-α, IL-8, IL-1β値の推移からは説明できなかったが, in vitroにおける結果より, Cepがサイトカインによる好中球のpriming効果を抑制したものと推測された.
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© 社団法人 日本透析医学会
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