抄録
非A非B型劇症肝炎に急性腎不全を合併し, 各種血液浄化法を用いることで救命できた症例を経験したので報告する. 症例は30歳, 男性. 全身倦怠感と高度の肝機能障害, 乏尿のため当院に入院した. 入院後肝性昏睡III度の意識障害が出現し, プロトロンビン時間13.9%と低下したため, 急性腎不全を合併した劇症肝炎と診断し, 血漿交換, CVVH, 血液透析を施行した. 計17回の血液透析の後, 約1か月後に利尿期を迎え透析を離脱, 腎機能, 肝機能は正常化した. 肝組織像では急性肝炎の回復期の所見を呈していた. 劇症肝炎に腎不全を合併した場合の予後は極めて不良であり, ことに急性腎不全を合併した非A非B型劇症肝炎の救命例の報告は稀と思われ, 文献的考察を加えて報告した.