日本透析医学会雑誌
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難治性二次性副甲状腺機能亢進症に対する経皮的エタノール注入療法 (PEIT) の効果
村本 弘昭川野 充弘水毛生 直則織田 邦夫藤田 恭子横山 邦彦
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1994 年 27 巻 12 号 p. 1463-1468

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抄録

難治性二次性副甲状腺機能亢進症を呈する9例の維持透析患者に対し, 経皮的エタノール注入療法 (PEIT) を施行し, その効果について検討した. PEIT前の血清Ca濃度は10.0-10.8mg/dlで, 活性型ビタミンD投与量は1例の6μg/週を除き0-2μg/週と少量であった. 9例の腫大した副甲状腺22腺に対し, 超音波画像より求めた推定体積を上限として, エコーガイド下に0.05-2.8mlの100%エタノールを注入した. PEITは1-2週間隔で3回施行し, 副甲状腺内部のechogenicityの上昇を指標に, 症例によっては適宜追加し, 計98回施行した. 高感度 (HS) PTHは, 施行前で26,410-156,100pg/ml (平均83,500pg/ml) であったが, PEIT後3-12か月経過した時点で3,000-70,600pg/ml (平均30,500pg/ml) と全例低下していた. 血清Ca濃度も全例低下し, その程度に応じて1,25(OH)2D3パルス療法を施行した. 9例中6例は, PEIT後パルス療法により良好に維持されたが, 3例でHS-PTHの再上昇を認めた. この3例中2例は, 超音波診断にて未処置の腫大した副甲状腺が発見され, 1例は残存している副甲状腺の体積が大きくPEITの効果が不十分であり, 追加のPEITが必要と判定された. intact PTHやAl-Pは, HS-PTHとほぼ同様の動きを示した. 副作用として, 全例に穿刺部位の軽度疼痛と, 2例で-過性の嗄声を認めたのみであった.
以上の結果より, コントロール困難な程度にまで腫大した副甲状腺をPEITにより縮小させることで, パルス療法など内科的治療による維持が可能になることが期待された.

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