日本透析医学会雑誌
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ブラッドアクセス用穿刺針が血管内迷入した1例
三輪 博久須藤 博安岡 キミ露木 和江小川 成海
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1994 年 27 巻 12 号 p. 1497-1499

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抄録

アクセス穿刺カテーテル先端が脱落して血管内迷入し, 超音波検査で位置同定後摘出された稀な1例を報告する. 症例は68歳, 女性, 慢性糸球体腎炎による腎不全で透析歴20年. 1990年12月4日, アーガイル社製クランピングチューブ付きメディカットカニュラショートタイプを用い, 左肘近傍の動静脈瘻を普通に穿刺した. 穿刺部からの出血で, カテーテル先端の血管内迷入に気づいた. アクセス近位側を圧迫しつつ, 超音波検査でアクセス内に停滞しているカテーテル先端部を確認し, 局所麻酔下に摘出した. 破損したカテーテルの基部および先端部は, 穿刺時に内筒針で切断されたのではなく, 基部から引きちぎれるように破損しており, 製造工程上生じた稀な欠陥品と考えられた. 血管内異物の位置同定には, 超音波検査が有用だった. 検索し得る限りアクセス穿刺用カテーテルの血管内迷入報告症例は認められなかった.

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