血液透析患者に合併した肘関節および手関節結核の1例を経験したので報告する.
症例は透析歴2年の63歳男性で, シャント側である左前腕の腫脹, 疼痛を訴え, 左手関節部に皮下膿瘍を認めた. 間欠的な発熱が続き, 発症4か月後の骨X線像で肘関節および手関節に骨破壊像が出現したため, 病巣掻爬を行い結核菌が同定された. 同時に行った骨生検ではアミロイド, アルミニウムの沈着はみられなかった. isoniazid, rifampicin, streptomycinの投与を行い, 3週間後より発熱は消失, 左前腕の腫脹, 疼痛も軽快した. 透析患者における破壊性関節病変の鑑別疾患に結核も考慮する必要があると考えられた.