日本透析医学会雑誌
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肝癌合併腎不全患者の臨床学的検討
広重 欣也松尾 典夫由宇 宏貴高杉 昌幸副島 正典黒岩 昭夫高橋 尚大谷 晃
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キーワード: 慢性腎不全, 肝癌, 血清αFP
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1994 年 27 巻 4 号 p. 247-253

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抄録

当科での過去10年間の血液透析患者480例における悪性腫瘍の合併状況について検討した. 24例 (5.0%) に悪性腫瘍の合併が認められ, 臓器別に肝癌が9例と最も多かった. その9人中7人は基礎疾患として糖尿病を有していた. また, 9人中6人は透析導入時あるいは導入後1年内に肝癌が発見された. 外科的肝切除術, 経皮的肝動脈塞栓術と抗癌剤動注の合併療法, 経皮的エタノール注入療法を7人に施行し, それぞれ有効性を認めた. 治療直後の高カリウム血症以外に重篤な合併症は認められなかった. また腎不全患者においても血清αFP値は肝癌合併例で有意に高値を示し, 診断や治療効果の判定に特異的に有用であった. 肝癌合併の早期発見のため, 定期的な超音波検査や血清αFP値の測定が透析導入以前より必要と考えられた.

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