日本透析医学会雑誌
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肢帯型筋ジストロフィー症による高ミオグロビン血症を合併した慢性透析患者の1例
百瀬 昭志佐々木 淳澤田 善章美濃 真成北川 柾彦舟生 富寿鈴木 唯司西山 純一郎
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1994 年 27 巻 4 号 p. 319-324

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抄録

症例は38歳女性. IgA腎症による慢性腎不全の診断にて1987年3月より血液透析治療を施行している. 透析開始2年後より徐々に歩行障害が出現したため精査したところ肢帯型筋ジストロフィー症と診断された.
肢帯型筋ジストロフィー症由来の横紋筋融解によるミオグロビンの大量産生と, IgA腎症由来の慢性腎不全によるミオグロビンの尿中排泄低下で高ミオグロビン血症を合併していた. 高ミオグロビン血症の改善のために, 血液透析から血液濾過透析への変更と透析膜の変更で, 血中・尿中ミオグロビンの低下とともに尿量の増加と高窒素血症の軽度改善を認め, 透析回数を週3回から週2回へと軽減することができた. 尿量増加の理由としては, 血液浄化法と透析膜の変更で, 血中・尿中ミオグロビンが低下し, ミオグロビンによる尿細管障害が緩和されたためと考えられた.

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