日本透析医学会雑誌
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塩酸マニジピンによる排液白濁をきたしたCAPD患者の1例
加藤 明彦菱田 明中島 敏晶大竹 剛靖古谷 隆一新井 隆巳熊谷 裕通木村 正人金子 榮蔵
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1994 年 27 巻 8 号 p. 1185-1188

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抄録

症例は51歳, 女性. 1990年に糖尿病性腎症によりCAPDに導入された. 塩酸マニジピン20mg/日の投与にても高血圧の改善がみられないため, 塩酸マニジピンを40mg/日に増量したところ, 翌日にCAPD排液が白濁した. 排液中のカイロミクロン値25mg/dl, 中性脂肪値29mg/dlと増加していたことより塩酸マニジピンによる乳糜腹水と診断した. 白濁は内服の中止により半日後に自然軽快した. 白濁時, 限外濾過量の増加とともに, IgG/ureaクリアランス比が上昇し, 大分子の透過性が増加していた. 排液中のNO2-濃度の増加はなく, カイロミクロンの増加がみられたことより, 排液白濁に塩酸マニジピンによるリンパ管拡張作用が関与する可能性があると思われた.

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