日本透析医学会雑誌
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慢性透析患者において腎摘出術後, 後腹膜仮性嚢腫を形成した1例
垣本 滋前川 直文近藤 厚中島 正洋岸川 正大
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1994 年 27 巻 8 号 p. 1181-1184

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抄録
長期透析患者において腎摘出術後, 同部に陳旧性血腫を内容物とする後腹膜仮性嚢腫を経験したので報告する. 症例は71歳, 昭和56年12月より血液透析を開始. 昭和58年6月右腎瘻より多量の出血をきたしたため右腎摘出術を施行した. 術中, 術後を通じ多量の出血を認めたが以後比較的順調に経過した. 平成2年7月頃より右側腹部に腫瘤を触知, 以後徐々に腫瘤は増大したため平成5年7月当科入院. 超音波検査, CT, MRI等の画像所見では腫瘤は10×7×7cm, 内部が不均一な軟部組織密度を呈する腫瘤で壁に石灰化を認めたが確定診断はつけられなかった. 同年7月全身麻酔下に右後腹膜腫瘍摘出術を施行した. 摘出した腫瘤は454g, 12.5×8.5×5.5cm, 骨様の硬い被膜で被われており, 内容はチョコレート様の旧い凝血塊であった. 嚢胞壁には上皮成分は認めず, 陳旧性血液を内容とする後腹膜仮性嚢腫と診断した.
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© 社団法人 日本透析医学会
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