抄録
著明な出血傾向を伴う腎不全患者の血液透析導入時に, 内シャント, 外シャントを同時に, かつ同側に作成し, その外シャントを用いて導入を行った1例を報告する.
症例は38歳の男性, 慢性腎炎にて外来加療を受けていたが, 腎不全の急性増悪にて入院となる. 血小板凝集能の低下を含め著明な出血傾向を認め, 穿刺によるカテーテル留置は危険と思われ手術的に確実に止血を行い得る外シャントを作成し, その早期抜去を可能とするため内シャントも同時に作成した. 外シャントにて導入を行ったが透析効率, 内シャント発達ともに良好であり術後10日で内シャント使用可能となり, 外シャントも抜去した.
外シャントは感染, シャント閉塞, 動脈狭窄等の問題で最近はあまり使用されていない方法であるが, 内シャントと同側, 同時に作成する場合には有用と考えられた.