1995 年 28 巻 11 号 p. 1447-1453
透析患者の高齢化, 長期化に伴いblood access troubleを繰り返す症例が増加している. このようなblood access作製困難例のblood accessとして長期間留置を目的としたダブル・ルーメンカテーテル (SOFT-CELL®: Vas-Cath, Ontario, Canada) を使用する機会を得た.
SOFT-CELL®は特殊ポリウレタン製カテーテルで, 従来のシリコン製より耐久性, 抗血栓性に優れ, さらに皮下トンネル内にダクロン・カフを留置させ長期留置を可能にしたものである. 対象は4症例である. いずれも右鎖骨下静脈より挿入し, 皮下トンネルを介し右の前胸部にカテーテルの出口部を設けた. 4症例中1例は過長なカテーテルのため心室性不整脈が誘発され, 3日後に抜去した. 残りの3症例では感染症や血栓形成の合併症は認められず, カテーテルのために抜去せざるを得ない症例はなかった.
本カテーテルは厳重な合併症対策により, 新しい恒久的blood accessになり得ると考えられた.