日本透析医学会雑誌
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血液透析に伴う脳血管障害
脳梗塞の病型と背景因子の検討
川畑 信也鶴田 良成桐生 宏司桜内 靖浩成田 眞康
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1995 年 28 巻 12 号 p. 1525-1531

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抄録

血液透析に伴う脳梗塞の臨床像を脳出血と比較し検討した. 対象は脳梗塞9例 (平均発症年齢66.3歳, 平均透析期間77.2か月) で, 比較対照群として脳出血21例 (同63.1歳, 56.0か月) を用いた. 脳梗塞群の臨床像を脳出血群と比較すると, (1) 脳梗塞の急性期の死亡率は低い (22.2%), (2) 脳梗塞では心疾患歴が高い, といった特徴が挙げられる. 脳梗塞の臨床病型の特徴として, (1) 頭蓋内主幹動脈に血栓性あるいは塞栓性の閉塞が起こりやすく, 中等大から広範囲に及ぶ梗塞巣が出現しやすい. 一方, ラクナ梗塞は少ない. (2) 多様な発現機序に基づいた脳梗塞がみられる. (3) 血行力学的な灌流障害に基づく脳梗塞の頻度が高い. とくに, 血液透析患者では血行力学的な機序に基づく脳梗塞が発現しやすい.

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